「もう3週間学校に行っていないけれど、大丈夫なんだろうか…」「このままずっと不登校が続くのでは?」
そんな不安を抱える保護者の方が、今とても増えています。文部科学省の統計によれば、2023年度の小中学生の不登校数は過去最多の約34万6,000人に達し、そのうち小学生は13万人を超えました。前年より約2万人以上も増加している状況です。
不登校は決して珍しいことではありませんが、放置しておくとリスクを伴います。ある調査では、小学6年生で不登校になったお子さんの約85%以上が中学1年生でも不登校を継続したという結果が出ています。小学校での不登校は、その後の学びや社会参加にも大きく影響する可能性があるのです。
とはいえ、早い段階で適切な関わり方をすることで、不登校が長期化せずに済むケースも多くあります。本記事では、「長引かせない」ための親の接し方と実践的な支援策について具体的にご紹介します。
不登校を長引かせない親の接し方(基本方針)
不登校のお子さんにとって、家庭が「安心できる場所」であるかどうかはとても大切です。親の一言が、お子さんを安心させることもあれば、深く傷つけてしまうこともあります。長期化を防ぐうえで重要となる親のスタンスについて、詳しく見ていきます。
① お子さんのペースを尊重し、焦らない
「いつになったら行けるの?」「そろそろ頑張ってほしい」そんな気持ちは当然ですが、焦りはお子さんに伝わります。登校することだけがゴールではありません。まずは「今は休む時期」「充電する期間」と考え、回復の土台を整えることに集中することが大切です。
不登校になったお子さんは、多くの場合、心身ともに疲れ切っています。学校での人間関係、勉強への不安、体調不良など、様々な要因が重なって限界を超えてしまった状態です。この状態で無理に登校を促しても、かえって症状が悪化してしまうことがあります。
まずはお子さんが「今日も安心して過ごせた」と感じられる日々を積み重ねることが、回復への第一歩となります。
めい先生「焦って登校を促した時期は全く改善せず、むしろ親子関係が悪化してしまいました。ゆっくり待つことを覚えてから、少しずつ良い変化が見られるようになりました。」
② 学校以外の話題で日々のコミュニケーションを大切に
学校の話題ばかりを避けたくなるかもしれませんが、何気ない雑談や一緒に過ごす時間が信頼関係の維持につながります。
「今日は何してた?」「一緒におやつ食べようか」「最近見たYouTube、面白かった?」といった、プレッシャーのない会話を心がけることが大切です。お子さんが話したくなるタイミングで、ゆるく関わっていくことで、親子の絆を保ちながら、お子さんの心の状態を把握することができます。
特に、お子さんの興味のあることについて一緒に話すことで、自然な形でコミュニケーションが生まれます。ゲーム、アニメ、本、動画など、お子さんが夢中になっているものがあれば、それについて聞いてみることから始めてみてください。



「家庭訪問をさせていただいた時に不登校のお子さんとの関係作りで大切にしていたのは、まず興味のあることから話すことでした。学校の話は一切せず、好きなことについて語り合う時間が、信頼関係を築く土台になっていました。」
③ 小さな変化や努力を認め、自己肯定感を育む
少し外に出られた、朝起きる時間が早くなった、手伝いをしてくれたなど、どんな些細なことでも、「ありがとう」「うれしいね」と声をかけることが大切です。
不登校のお子さんは、「学校に行けない自分はダメだ」と自分を責めがちです。そんな時だからこそ、日常の小さな行動を認めて褒めることで、「存在を肯定されている」と感じてもらうことが重要です。これが、お子さんが立ち直る第一歩になります。
褒める際は、結果だけでなく過程にも注目してみてください。「今日は10分早く起きられたね」「昨日より元気そうに見えるよ」など、具体的な変化を言葉にすることで、お子さん自身も自分の成長に気づくことができます。
家庭でできる学習・生活面のサポート
不登校が長期化する中で、「学力が遅れてしまうのでは?」「生活リズムが崩れてしまう」と心配になるのは当然です。ただ、ここでも大切なのは「無理なく、続けられる」支援です。
① 生活リズムを整える
夜更かしや昼夜逆転は、心身の不調を招く原因にもなります。体内時計が乱れると、うつ症状が悪化したり、集中力が低下したりすることが医学的にも明らかになっています。
以下のような工夫が有効です:
- 朝は決まった時間に起こす(無理強いはせず、声かけを)
- 朝食・昼食・夕食の時間を固定
- パジャマから私服に着替える習慣
- 軽い散歩や買い物同行で身体を動かす
- カーテンを開けて自然光を取り入れる
- 就寝前のスマホやゲーム時間を制限する
無理に学校の時間に合わせる必要はありませんが、「朝起きて活動する」生活を意識することが大切です。最初は起きる時間を30分ずつ早めていくなど、段階的に調整していくと無理がありません。
また、お子さんと一緒に「今日のスケジュール」を立てることで、一日の見通しを持てるようになります。勉強の時間を無理に入れる必要はなく、「朝起きる」「朝食を食べる」「好きなことをする時間」といった基本的な活動から始めてみてください。
② 学習支援:無学年式教材や家庭教師の活用
不登校のお子さんは、「勉強が分からないから学校に行きたくない」と感じているケースも多くあります。学習の遅れを取り戻すためには、お子さんのペースに合わせた個別の学習支援が必要です。
通信教育「すらら」の活用
すららは無学年式なので、学年をさかのぼって復習ができる点が大きな特徴です。アニメーション授業とドリルで、一人でも取り組みやすく設計されています。自治体でも採用されており、出席扱いになるケースもあります。
2023年時点で累計2000人以上の不登校児童が出席認定を受けた実績があり、信頼性の高い教材として注目されています。特に、お子さんが「分からない」と感じている単元まで戻って学習できるため、基礎からしっかりと理解を積み上げることができます。公式サイトはこちら
オンライン家庭教師の活用
対面が難しいお子さんでも自宅で安心して学べる環境を提供できます。不登校支援に理解のある講師が多数在籍しており、勉強だけでなく「外部とのつながり」を作ることもできます。
オンライン家庭教師の利点は、お子さんの状況を理解した講師が、学習面だけでなくメンタル面でもサポートしてくれることです。週に1〜2回の定期的な関わりによって、生活にメリハリをつけることもできます。





「学習支援で大切なのは、『分かる』という成功体験を積み重ねることです。私も不登校のお子さんに個別指導をしていましたが、学年を2つ戻って基礎から始めることで、『勉強って楽しい』と言ってもらえるようになったことがあります。」
学校以外の居場所・支援先を探る
長期化してくると、お子さんが「社会から孤立してしまう」ことへの不安も生まれてきます。そんなときは、家庭と学校以外の「第3の場所」を探してみることが重要です。
① フリースクールや適応指導教室
フリースクールは、少人数で安心して過ごせる空間を提供し、学校への復帰を目指さず、「自分のペースで学ぶ」ことを支援してくれます。
全国に約500カ所以上のフリースクールがあり、それぞれ特色のある活動を行っています。学習中心のところ、体験活動中心のところ、芸術活動に力を入れているところなど、お子さんの興味や特性に合わせて選ぶことができます。
適応指導教室は、教育委員会や自治体が運営する公的な支援機関です。利用料が無料または低額で、専門のカウンセラーや教員が配置されています。早めに問い合わせをして、見学や体験の機会を設けることをお勧めします。
見学の際は、お子さんの意思を尊重することが大切です。無理に参加させるのではなく、「どんなところか見てみる?」程度の軽い気持ちで提案してみてください。



「フリースクールの見学に同行したことがありますが、最初は緊張していたお子さんが、スタッフの方の温かい対応で徐々にリラックスしていく様子を見て、『第3の居場所』の大切さを実感しました。」
② 不登校専門塾やオンライン支援サービス
不登校のお子さんに特化したサービスが増えています。これらのサービスは、「勉強」だけでなく、「居場所」としての機能も重視している点が特徴です。
メンタルに寄り添うコーチ陣が在籍し、お子さんの心理状態を理解しながら学習支援を行います。実際の利用者からは「家族以外に話せる人ができて、本人が前向きになった」「週2回のオンライン指導で生活リズムが戻ってきた」といった声が聞かれます。こちらの「個別指導ティントル」のように、学習を支えながら居場所作りをオンラインでサポートしてくれる個別指導もあります。【ティントル 不登校専門オンライン個別指導】
オンライン形式の支援は、外出が困難なお子さんでも気軽に始められるメリットがあります。最初は短時間から始めて、徐々に時間を延ばしていくことで、お子さんの負担を軽減できます。
③ ICT教材による出席扱い制度
条件を満たせば「すらら」などの学習でも出席扱いになる可能性があります。これは平成17年に文部科学省が策定した制度で、IT等を活用した学習活動を行った場合、校長の判断により出席扱いとすることができるというものです。
出席扱いの条件として、以下のような要件があります:
- 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係があること
- ICT等を活用した学習活動であること
- 訪問等による対面指導が適切に行われること
- 学習の理解の程度を踏まえた計画的な学習プログラムであること
- 校長が対面指導や学習活動の状況を十分に把握していること
学校・自治体と相談し、申請することで正式認定される仕組みです。これは今後の進路を左右する非常に大きなポイントになるため、積極的に情報収集する価値があります。
ただし、出席扱いを目的とするのではなく、お子さんの学習意欲の回復や自信の向上を第一に考えることが大切です。
親だけで抱え込まないことも大切
不登校が長引くと、保護者自身が疲れ切ってしまうケースも少なくありません。ある調査では、不登校児の保護者の約半数が孤独を感じており、約2割が仕事を辞めざるを得なかったと報告されています。
相談できる場所や人を見つける
以下のような相談先があります:
教育相談所 各自治体に設置されており、専門のカウンセラーや相談員が対応してくれます。お子さんだけでなく、保護者の相談にも応じてもらえます。
不登校親の会 全国に多数あり、同じ悩みを持つ保護者同士で情報交換や相互支援を行っています。実体験に基づいたアドバイスを得ることができます。
カウンセリング・オンラインサロン 専門家によるカウンセリングや、オンラインでの相談サービスが充実しています。自宅にいながら相談できるため、忙しい保護者の方にも利用しやすい形態です。
学校の担任やスクールカウンセラー 学校との連携を保つためにも、定期的な相談を心がけることが大切です。お子さんの状況を共有し、今後の方針について話し合います。
親が余裕を持っていないと、お子さんにも伝わってしまいます。「一人で頑張らなくていい」と、自分に言ってあげることが大切です。保護者自身の心のケアも、お子さんの回復には欠かせない要素なのです。
また、家族の中での役割分担も重要です。可能であれば、夫婦で相談して、一方が感情的になった時にもう一方がフォローできるような体制を作っておくことをお勧めします。
「私が担任していた時、最も回復が早かったお子さんの保護者の方は、必ず月に1回は親の会に参加されていました。『同じ状況の人と話すことで、自分だけじゃないと思えた』とおっしゃっていたのが印象的でした。」
不登校の長期化を防ぐためには、お子さんの状況を正しく理解し、適切な支援を継続することが重要です。焦らず、比較せず、否定せず、お子さんのペースに寄り添いながら、様々な選択肢を検討してみてください。そして何より、保護者の方自身も一人で抱え込まず、周囲のサポートを積極的に活用することが、家族全体の回復につながります。





