子どもの「やる気が出ない」は自然なこと
「せっかく勉強道具を広げたのに、すぐにダラダラしてしまう」「やる気が続かずに、学習時間が毎日バラバラになる」――小学生を持つ保護者の方なら、一度はそんな悩みに直面したことがあるのではないでしょうか。子どもが家庭学習に前向きになれない背景には、発達段階の特性や、自己コントロール力の未熟さ、さらには学習に対する心理的なハードルなど、さまざまな要因が関係しています。
しかし、「うちの子はやる気がない性格なんだ」と諦めてしまうのはまだ早いかもしれません。やる気を引き出すためには、子ども自身の性格に合わせた「学習の工夫」が不可欠です。そしてその工夫は、難しいテクニックではなく、家庭でも取り入れやすいちょっとした声かけや環境づくりから始めることができます。
たとえば、ある小学3年生の家庭では、リビングの一角に「自分だけの学習スペース」を設けたところ、自ら進んで机に向かうようになったそうです。「ここは私の場所」と感じられる空間が、安心感と集中力を生み、結果的に学習習慣の定着につながったのです。
モチベーションの低下は必ずしも「怠け」ではなく、環境や働きかけによって変化しうるものです。まずは親として「うまくいかないのは当然」という視点を持ち、子どもと一緒に少しずつ試行錯誤する姿勢が大切です。
めい先生次のセクションでは、家庭ですぐに実践できる「やる気を引き出す工夫」を5つの視点からご紹介します。それぞれの工夫には、実際の事例や心理的なアプローチも交えて解説していきます。
1. 成功体験を積み重ねて「できた!」を増やす


子どもがやる気を出す最大の原動力は、「できた!」という実感です。大人でも、自分の行動に成果が見えるとモチベーションが上がるように、子どもにとっても達成感は大きな励みになります。特に家庭学習では、その達成感を意識的に作る工夫が重要です。
小さな目標から始めて成功を体験させる
たとえば、「今日は10分間だけ集中してやってみよう」「この1ページだけ終わらせよう」といった小さな目標を設定することがポイントです。はじめから長時間の勉強や難しい問題に取り組ませると、挫折感の方が先に立ってしまいます。達成可能な目標を一緒に決めて、それをクリアするたびに「できたね!」と声をかけるだけで、子どもは達成感を味わえます。
【事例1・・小学生(低学年)】「1日1問漢字ドリル」を導入。1問解けたらシールを貼る方式にしたところ、毎日取り組むのが楽しくなり、結果的に1日3問、5問と自然に量が増えていきました。
過去との比較で成長を実感させる
他人との比較ではなく、昨日の自分との比較を意識させるのも効果的です。「昨日よりスラスラ書けるようになったね」「前より計算が速くなったね」といったフィードバックは、子どもにとって自己肯定感を高める材料になります。
【事例2・・小学生(中学年)】毎週の漢字テストで点数を記録していくうちに、「前より間違いが少ない!」と自らの成長に気づき、次第に自発的に復習するようになりました。
褒めるポイントは「結果」より「努力」に
「100点取れてすごいね」よりも、「毎日コツコツやっているのがすごいね」と、努力や過程を褒めることで、子どもは「頑張ること」に価値を感じるようになります。これは、内発的動機づけを育てる上でも重要なアプローチです。
【事例3・・小学生(低学年)】「朝の5分音読」を毎日続けたことを褒めることで、「継続すること=すごいこと」という認識が芽生え、自然と学習習慣が定着していきました。
2. 学習しやすい環境づくりで集中力をサポート
**子どものやる気を左右する要因のひとつが「学習環境」**です。リビングのテレビがついていたり、机の上におもちゃがあったりすると、集中が続かないのは当然。環境を少し工夫するだけで、学習への意欲がぐっと高まることがあります。
「専用スペース」を用意する
たとえ広い家でなくても、子ども専用の学習スペースを用意することは大切です。「ここに座ったら勉強モード」という条件づけが自然と働くため、気持ちの切り替えがスムーズになります。
【事例1・・小学生】ダイニングテーブルの一角に「学習マット」を敷き、その上に必要な文具と教材だけを置くルールにしました。たったそれだけで、子どもが自然とその場所に座りたがるようになり、集中力もアップ。
「視覚的ノイズ」を取り除く
机の上がごちゃごちゃしていると、目に入る情報が多すぎて注意が散漫になります。子どもの集中力を高めるには、必要なものだけを見える場所に置くのがポイント。収納ボックスや引き出しを活用して、常に整理整頓された状態を保ちましょう。
【事例2・・小学生(低学年)】おもちゃと学用品が同じ棚に並んでいたため、学習中に何度も気が散っていました。そこで、おもちゃ棚を別の部屋に移動し、学用品だけを机の近くにまとめたところ、「勉強中の脱線」が激減。
照明や椅子の高さにも気を配る
照明が暗すぎたり、椅子が高すぎて足がぶらぶらしたりするのも、集中力を下げる原因になります。適切な明るさ、足がしっかり床に着く椅子の高さなど、身体に合った環境が整っていると、それだけで学習効率が高まります。
【事例3・・小学生(低学年)】机の照明をLEDデスクライトに変更し、足置きを用意したところ、「疲れにくくなった」と本人が実感。学習時間が自然と長くなりました。
このように、家庭学習の成功は「環境づくり」から。学力の問題ではなく、学ぶための土台が整っていないだけというケースも多いため、まずは学習空間を見直すことから始めてみましょう。
3. 保護者の声かけひとつでモチベーションは変わる
子どもが家庭学習に前向きになれるかどうかは、保護者の関わり方が大きく影響します。その中でも、日々の「声かけ」は最も手軽で、なおかつ効果的なサポート方法です。無理に励ましたり叱咤したりするのではなく、子どもの気持ちに寄り添った言葉かけを心がけることがポイントです。
結果より過程に注目した言葉を使う
「ちゃんと100点取ったの?」と結果を問い詰めるより、「毎日コツコツやってるのがすごいね」と努力や工夫を認める言葉の方が、子どものやる気を引き出します。これは「内発的動機づけ」に関係し、自分の意思で頑張る力を育てることにつながります。
【事例1・・小学生(低学年)】毎日の計算練習に対して「また続けてできたね」と声をかけることで、結果に関係なく継続する姿勢が自然と育まれていきました。
子どもの感情に共感する
「まだ終わってないの?」と急かすより、「難しそうだね。でも頑張ってるね」と共感を示す声かけは、子どもの安心感につながります。保護者が自分の努力を理解してくれていると感じると、子どもは「もっと頑張ろう」と前向きな気持ちになります。
【事例2・・小学生(中学年)】作文に苦戦していたとき、「言葉にするのって難しいよね。でも少しずつ形にしていけるといいね」と母親が声をかけたところ、自ら時間をかけて文章を完成させたそうです。
否定的な言葉を避ける工夫
「なんでできないの?」「また間違えたの?」といった否定的な言葉は、自己肯定感を損ない、学習意欲を奪う原因になります。代わりに、「どこが難しかった?一緒に考えてみよう」など、前向きな対話を促すフレーズを使いましょう。
【事例3・・小学生(低学年)】ひらがなの書き取りで苦戦していた際、「これはちょっと難しいよね。でも、昨日より上手になってる!」という言葉をきっかけに、自信を取り戻して再挑戦できたというケースもあります。
このように、声かけひとつで子どものモチベーションは大きく変化します。毎日の何気ない会話が、家庭学習の成果を左右する重要な要素であることを意識してみてください。
4. ごほうびや仕組みで「やる気のスイッチ」をつくる
子どものやる気を引き出すには、「ごほうび」や「ルール化された仕組み」を活用することも非常に効果的です。ただし、単なる物質的報酬に頼るのではなく、学習の楽しさや達成感と結びつけることで、より長期的なモチベーションへとつながります。
「見える化」で達成感を実感させる
シールやスタンプなど、努力の積み重ねが視覚的に確認できる仕組みは、子どもにとって大きな励みになります。カレンダーにシールを貼るだけでも、「続けている」という実感が生まれ、やる気の維持に効果的です。
「選べるごほうび」で主体性を高める
あらかじめいくつかのごほうび候補を子どもと一緒に決めておくと、「やらされている感」ではなく「自分で選んだ」という感覚が生まれ、モチベーションが上がります。おやつタイム、好きなテレビ番組、週末のお出かけなど、日常の中のちょっとした楽しみで十分です。
ゲーム感覚で仕組みに取り込む
学習を「作業」ではなく「遊び」に変えることで、やる気のスイッチが入りやすくなります。例えば、クイズ形式にしたり、タイムトライアルを取り入れたりすることで、「今日もやりたい!」という気持ちが自然と湧いてきます。
ごほうびやルールは、一時的なやる気だけでなく、継続的な習慣化のためのきっかけにもなります。大切なのは、子どもの「やりたい」という気持ちを引き出すような工夫を、家庭で柔軟に取り入れていくことです。
5. 自分で考える力を育てる「対話型学習」
家庭学習でやる気を引き出すには、子どもが自分で考える力=主体性を育てることが欠かせません。指示された課題をこなすだけでは、やらされ感が強くなり、学習が苦痛になりがちです。そこで注目したいのが「対話型学習」です。
質問を通じて思考を促す
「どうしてそう思ったの?」「他の方法もあるかな?」といった問いかけを使って、子どもに自分の考えを言葉にさせることで、学習への興味や深い理解につながります。ただ答えを教えるのではなく、子どもの答えを引き出す姿勢が大切です。
意見を認め、否定しない
子どもが自分の考えを表現したときは、否定せずに受け止める姿勢が重要です。「そういう考え方もあるね」「面白い視点だね」と反応することで、子どもは「自分の意見を言っていいんだ」と感じ、自信が育ちます。
目標や計画を一緒に立てる
「今日は何をする?」「どこまで進めたい?」といった学習計画を子どもと一緒に考えることも、主体性を育てる有効な手段です。「自分で決めたことだから頑張る」という意識が芽生え、やる気の継続にもつながります。
このように、子どもとの対話を通じて「自分で考える力」を育むことは、モチベーション維持の大きなカギとなります。親子の会話が学びの時間をより豊かにし、学習そのものを楽しむ力へとつながっていきます。
この記事を読んだあなたにおすすめの次のステップ
- 今日からできる小さな目標を1つ決めてみる
「5分間だけ集中」「1ページだけ解く」など、達成しやすい課題を子どもと一緒に設定してみましょう。 - 学習環境を見直して整える
机の上を整理整頓し、「学びに集中できる空間」をつくるだけで子どもの行動が変わります。 - 1週間のごほうびルールを家族会議で決める
ルール作りに子どもも参加させ、自分の行動に対する楽しみを設定してみましょう。 - 「どう思う?」をキーワードにした声かけを始める
親子の対話を増やすことで、子どもの思考力と学習意欲が育ちます。 - この記事を他の保護者と共有する
同じ悩みを持つママ友や保護者同士で、情報を共有して一緒に工夫していきましょう。









