夏休みの宿題の中でも、毎年多くの小学生が苦戦するのが読書感想文です。「何を書けばいいかわからない」「本の内容をまとめてしまうだけ」——そんな悩みを抱える子どもに、どう向き合えばよいのでしょうか。この記事では、小学生が読書感想文をスムーズに書けるようになるための構成の基本や、保護者の効果的な声かけの工夫、おすすめの本までを徹底的に解説します。
めい先生保護者がちょっとしたコツを知っているだけで、お子さんの感想文へのハードルはぐんと下がります。読書が好きになるきっかけにもなるこの機会、ぜひ親子で一緒に取り組んでみましょう。
📚 読書感想文が苦手な理由とその背景





多くの小学生が「読書感想文が苦手」と感じる背景には、いくつかの共通する要因があります。保護者としてその理由を理解することは、お子さんのサポートにおいて非常に重要です。
1. 「正解」を求めすぎる環境
学校教育の中では、どうしても「正しい答え」を求める傾向が強く、自由に表現する機会が限られています。そのため、「読書感想文には正解があるのでは?」と感じてしまう子が多いのです。実際には、感想文には一人ひとりの考えが尊重されるべきですが、「間違ったことを書いてはいけない」というプレッシャーが、子どもたちの筆を止めてしまう原因になります。
2. 自分の意見を言葉にするのが難しい
特に低学年のうちは、「感動した」「面白かった」などの感情をうまく文章にする力が未発達な場合があります。語彙力や表現力の未熟さも手伝って、自分の思いを適切に表現できず、モヤモヤしてしまうのです。



担任として一番相談されたのは「なんて書いたらいいか分からない」という悩みです。
3. 本の要約で終わってしまう
「何を書いていいかわからないから、とりあえずストーリーを説明した」という子どもは少なくありません。これは、「感想文=あらすじを書くもの」という誤解が根強いためです。本を読んで感じたことや考えたことに焦点を当てるという目的が、十分に伝わっていないことが原因です。
4. 興味のない本を課題として読むことが多い
指定図書や学校で配られた課題図書が、必ずしも子どもの興味に合うとは限りません。興味が持てない本では、感情移入や共感が難しくなり、感想も浮かびにくくなります。結果として、「書くことがない」と感じてしまうのです。
5. 読書の習慣がそもそもない
普段から本を読む習慣がない子どもにとって、1冊の本を最後まで読み、それについて文章を書くという行為はハードルが高く感じられます。読書と文章表現の両方に苦手意識がある場合、二重の負担になってしまうこともあります。



最近の子どもたちに多い気がします。日頃から読書する習慣がない児童生徒が増えてきている印象です。おすすめの本を調べて、小学生のうちからたくさんの本に触れてほしいと願っています。
保護者にできること
まずは、子どもがなぜ読書感想文を苦手に思っているのか、じっくり話を聞いてみましょう。「どうして書けないの?」と責めるのではなく、「どこで困っているの?」と寄り添う姿勢が大切です。そして、「正解はないから、自分の気持ちを大事にしていいんだよ」と伝えてあげることで、安心感を持たせましょう。
✏️ 読書感想文の基本構成とステップ


「読書感想文の書き方がわからない」という悩みは、構成が曖昧なまま書き始めてしまうことが大きな原因です。感想文にも「型」があることを知れば、ぐんと書きやすくなります。ここでは、小学生にもわかりやすい基本構成と、スムーズに書き進めるための具体的なステップをご紹介します。



国語が苦手なお子さんほど、いきなり文章を書き出してしまう傾向にあります。まずはどのような構成にするかを一緒に書き出し、文章の流れを作るのが有効だと思います。今後「公立高校受検(作文あり)」につながりますので、小学生のうちに慣れておくと強力な武器になります。
読書感想文の基本構成(四部構成)
読書感想文は以下のように、4つのパートに分けて構成するのが一般的です。
- 導入(選んだ理由・読んだきっかけ)
- なぜその本を選んだのか
- 本の第一印象や読み始めたときの気持ち
- あらすじ(簡潔に)
- 物語の流れを要約(登場人物、出来事、結末)
- ※長くなりすぎず、2〜3行で収めるのが理想
- 感想(メイン)
- 心に残った場面やセリフ
- 自分の経験と重ねた考え
- 読んで変わった気持ちや価値観
- まとめ(これからどうしたいか)
- この本を読んで学んだこと
- 自分にとっての意味や今後への活かし方
ステップ1:話しながら構成を考える
まずは親子で本の内容について会話してみましょう。以下のような質問で対話をリードするのが効果的です。
- 「どの場面が一番心に残った?」
- 「そのとき、主人公はどんな気持ちだったと思う?」
- 「自分だったらどうすると思う?」
- 「この本を読んで、何か考えが変わった?」
会話を通して、子どもが感じたことを自然と言語化できるよう促します。
ステップ2:メモを取りながら整理する
感想文を書く前に、紙に思いついたことを箇条書きで書き出してみましょう。「キーワードだけでもOK」と伝え、ハードルを下げます。思考の可視化が文章の組み立てに役立ちます。
ステップ3:テンプレートに沿って下書きする
文章を書くのが苦手な場合、以下のようなテンプレートを使うと、流れがつかみやすくなります。
(※文章を書くのが好きなお子さんはこの限りではありません。様々な表現を用いることで、構成力や想像力がさらに高まるものと思います。)
この本を読もうと思った理由は〇〇です。読んでみると、△△という場面が印象に残りました。そのとき私は□□と感じました。なぜなら〜。
型に沿って書くことで、文章構成の不安が減り、書きやすさがアップします。
ステップ4:最後に読み返して気持ちを加える
書き終えた後は、保護者が一緒に読み返して「どの部分に一番気持ちが込もっている?」と問いかけてみましょう。文章に子どもの気持ちが表れているかを一緒に確認することで、自然な推敲につながります。
読書感想文の構成は「自由に書いていい」ものではなく、「自由に感じたことを、ある程度の型に沿って伝える」ものです。このことを親子で理解するだけで、子どもの不安はずいぶんと軽減されるでしょう。
💬 感想を引き出す!親の声かけの工夫


「感想が思いつかない」「何を書けばいいかわからない」——そんな子どもの悩みに、保護者の声かけはとても大きな力になります。ただ「感想を書いてみて」と言うだけではなく、子どもの気持ちを引き出す問いかけをすることで、自然と言葉があふれるようになります。
なぜ声かけが重要なのか?
小学生にとって、自分の気持ちや考えを言葉にすることは、まだ発展途上のスキルです。そのため、「なにをどう書けばいいのか」がわからず、感想文を書くこと自体が苦痛になることがあります。そんな時、保護者が安心感を与える声かけをすることで、「自分の思ったことをそのまま書いていいんだ」と感じられるようになります。
感想を引き出す魔法のような質問例
感想文の各パートに合わせて、以下のような質問の型を使うと、子どもが自分の気持ちに気づきやすくなります。
【導入に役立つ質問】
- 「この本を選んだのはどうして?」
- 「最初にタイトルを見たとき、どんなふうに思った?」
【心に残った場面を引き出す質問】
- 「読んでいてドキドキした場面はあった?」
- 「この登場人物に似てる人、周りにいる?」
- 「このとき、自分だったらどうしてたと思う?」
【自分の考えと結びつける質問】
- 「この話から、なにか学んだことある?」
- 「似たようなこと、自分にもあった?」
- 「読んでから、気持ちが変わったところはある?」
声かけのポイント:評価ではなく共感を
感想を引き出す際に気をつけたいのが、「間違いを正す」ことではなく、「感じたことをそのまま受け止める」という姿勢です。
たとえば、「それは違うよ」ではなく、「そう感じたんだね」「面白い見方だね」といった肯定的なリアクションが、子どもにとって大きな励みになります。
タイミングと環境にも配慮を
声かけは、子どもが落ち着いているとき、話しやすい雰囲気の中で行うのがベストです。おやつタイムやお風呂の時間など、リラックスできる場面で話すと、本音が出やすくなります。また、無理に長時間取り組ませるのではなく、「今日はここまで」と区切る工夫も効果的です。
こんな声かけはNG
- 「もっとちゃんと考えて」
- 「なんでそんなこと思ったの?」
- 「それは違うと思うけど」
これらは、子どもの自由な思考を否定する印象を与えかねません。**「その気持ち、もっと聞かせて」**といった受容的な声かけに変えるだけで、感想文の質も大きく変わってきます。
読書感想文は、単なる宿題ではなく、子どもの内面を知るチャンスでもあります。日常の中で丁寧に対話を重ねることで、書く力だけでなく、考える力・感じる力も育っていきます。
1・2年生(低学年)向け 10冊
読書感想文の成功には、子どもが「心を動かされる」本と出会うことが何よりも大切です。ここでは、小学生の各学年ごとに、読書感想文にぴったりな本を厳選してご紹介します。いずれも、物語に入り込みやすく、感想を引き出しやすい作品ばかりです。
1. 『ライオンの学校』みどりの詩 作(中央公論新社)
選定理由: ライオンの学校に転校したネズミのぼく。体の大きさも、言葉も習慣も違うライオンと、仲良くなんてできっこない!そう思っていたけれど…。ネズミの勇気が、世界を変える!友だち関係や転校の経験について書きやすい。
2. 『てぶくろ』エウゲーニー・M・ラチョフ 絵(福音館書店)
選定理由: 動物たちの共存がテーマ。短い文章で読みやすく、「みんなで仲良く」について感想を書きやすい。
3. 『からすのパンやさん』かこさとし 作(偕成社)
選定理由: 家族の温かさと協力をテーマにした名作。パンづくりの楽しさから家族への感謝を表現しやすい。
4. 『スイミー』レオ・レオニ 作(好学社)
選定理由: 小さな魚の勇気と協力の物語。「ひとりひとりは小さくても」という普遍的テーマで感想を書きやすい。
5. 『ぐりとぐら』中川李枝子 作(福音館書店)
選定理由: 料理を通じた友情と分かち合いの心。身近な体験と結びつけて感想を書きやすい。
6. 『はじめてのおつかい』筒井頼子 作(福音館書店)
選定理由: 子どもの成長と勇気がテーマ。自分の経験と重ね合わせて感想を書きやすい。
7. 『100万回生きたねこ』佐野洋子 作(講談社)
選定理由: 愛することの大切さを学べる。やや高度だが、感情について深く考えられる。
8. 『おおきなかぶ』A・トルストイ 再話(福音館書店)
選定理由: 協力することの大切さを学べる。「みんなで力を合わせる」体験について書きやすい。
9. 『そらまめくんのベッド』なかやみわ 作(福音館書店)
選定理由: 友だちを思いやる気持ちがテーマ。分かち合いの心について感想を書きやすい。
10. 『いやいやえん』中川李枝子 作(福音館書店)
選定理由: 保育園生活を通じた成長物語。集団生活での経験と結びつけて感想を書きやすい。
3・4年生(中学年)向け 10冊
1. 『チョコレート工場の秘密』ロアルド・ダール 作(評論社)
選定理由: 冒険とファンタジーで想像力を刺激。善悪の判断について考えさせられる。
2. 『エルマーのぼうけん』ルース・スタイルス・ガネット 作(福音館書店)
選定理由: 冒険を通じた勇気と友情の物語。困難に立ち向かう体験について書きやすい。
3. 『窓ぎわのトットちゃん』黒柳徹子 作(講談社)
選定理由: 学校生活での個性と成長。自分らしさについて考えを深められる。
4. 『かいけつゾロリ』シリーズ(ポプラ社)
選定理由: ユーモアあふれる冒険談。友情と正義感について楽しく学べる。
5. 『ともだちや』内田麟太郎 作(偕成社)
選定理由: 真の友情とは何かを問いかける。友だち関係について深く考えられる。
6. 『はれときどきぶた』矢玉四郎 作(岩崎書店)
選定理由: 日記を通じた不思議な体験。想像力と現実の境界について考えられる。
7. 『大どろぼうホッツェンプロッツ』オトフリート・プロイスラー 作(偕成社)
選定理由: 善悪の対立が明確で、正義感について考えさせられる。
8. 『ふたりはともだち』アーノルド・ローベル 作(文化出版局)
選定理由: がまくんとかえるくんの友情物語。思いやりの心について感想を書きやすい。
9. 『わかったさんのこんがりおやつ』寺村輝夫 作(あかね書房)
選定理由: 不思議な世界での料理体験。創造性と努力について考えられる。
10. 『ミオよ、わたしのミオ』アストリッド・リンドグレーン 作(岩波書店)
選定理由: 父と子の絆と成長物語。家族の大切さについて深く考えられる。
5・6年生(高学年)向け 10冊
1. 『星の王子さま』サン=テグジュペリ 作(岩波書店)
選定理由: 人生の本質について考えさせられる名作。大人になることの意味を考えられる。
2. 『僕らの七日間戦争』宗田理 作(角川書店)
選定理由: 中学生の自立と友情。大人への反抗心と成長について書きやすい。
3. 『西の魔女が死んだ』梨木香歩 作(小学館)
選定理由: 祖母との交流を通じた心の成長。家族の絆と死について考えられる。
4. 『ハリー・ポッターと賢者の石』J.K.ローリング 作(静山社)
選定理由: 友情と勇気のファンタジー。困難に立ち向かう勇気について書きやすい。
5. 『二分間の冒険』岡田淳 作(偕成社)
選定理由: 短時間に凝縮された成長物語。時間の大切さと勇気について考えられる。
6. 『精霊の守り人』上橋菜穂子 作(偕成社)
選定理由: 守るべきものと責任について。正義感と使命感について深く考えられる。
7. 『夏の庭』湯本香樹実 作(新潮社)
選定理由: 生と死、老人との交流。人生の意味について考えさせられる。
8. 『モモ』ミヒャエル・エンデ 作(岩波書店)
選定理由: 時間の大切さと人とのつながり。現代社会の問題について考えられる。
9. 『十五少年漂流記』ジュール・ヴェルヌ 作(講談社)
選定理由: 協力とリーダーシップの冒険物語。困難な状況での判断力について書きやすい。
10. 『ブラッカー校の奇跡』アン・ファイン 作(評論社)
選定理由: 学校生活での成長と責任。リーダーシップと友情について考えられる。
読書感想文を書くためのポイント
本選びのコツ
- 共感できる主人公:自分の年齢や境遇に近いキャラクターがいる本
- 明確なテーマ:友情、家族、勇気、成長など、感想を書きやすいテーマ
- 適切な長さ:学年に応じた読みやすいボリューム
- 興味のある分野:冒険、ファンタジー、学校生活など、子どもが興味を持つジャンル
感想文執筆のコツ
- あらすじは簡潔に:物語の内容説明は全体の1/4程度に留める
- 心に残った場面:最も印象深かった場面とその理由を具体的に書く
- 自分の体験と重ね合わせる:主人公の行動や気持ちを自分の経験と比較する
- 学んだこと・感じたこと:本を読んで得た気づきや成長を表現する
- 今後への活かし方:読書体験を今後の生活にどう活かすかを考える
学年別指導のポイント
1・2年生
- 絵本や短い物語から始める
- 「面白かった」「悲しかった」などの素直な感情を大切に
- 絵や挿絵についても触れることで感想を膨らませる
3・4年生
- 登場人物の気持ちの変化に注目
- 「もし自分だったら」という視点を取り入れる
- 友だち関係や学校生活と結びつけて考える
5・6年生
- 作品のテーマや作者の意図を考える
- 社会問題や人生について深く考察
- 批判的思考力を育てながら多角的に作品を分析
これらの書籍は、各学年の発達段階に応じて選定し、読書感想文として表現しやすいテーマを含んでいます。子どもたちの興味を引きつけながら、豊かな感性と表現力を育むことができるでしょう。
選書のコツと注意点
- 子どもの興味に合った本を選ぶことが第一です。「好きなジャンル」「好きなキャラクター」など、本人の好みを尊重しましょう。
- 無理に難しい本を選ばず、「読みやすくて感情が動く」本を重視するのがポイントです。
- 図書館司書や書店員に「読書感想文向けの本を探しています」と相談するのも有効です。
良い本との出会いは、読書感想文だけでなく、子どもの読書習慣や思考力の育成にもつながります。保護者が一緒に選んだり、読み合ったりする体験そのものが、親子の大切な時間になります。
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📝 まとめ:親子で楽しく取り組む読書感想文のすすめ
読書感想文は、多くの小学生にとって「難しい宿題」と感じられがちですが、保護者の関わり方ひとつで、楽しい学びの時間へと変わります。本を通して感じたことを言葉にする力は、これからの学習や人生において、非常に重要なスキルです。
感想文は“親子の対話”から生まれる
「どう書けばいいか」よりも、「何を感じたのか」を大切にすることが、感想文成功のカギです。そのためには、まずは親子でたくさん会話をすることが第一歩。感じたことを共有し合う中で、子どもは自分の思いに気づき、自然と書く力が育っていきます。
感想文の時間=自己表現の練習時間
「自分の気持ちを言葉にして伝える」という行為は、まさに自己表現そのもの。感想文に取り組むことで、子どもは「自分の考えには価値がある」と感じられるようになります。これは、自信や自己肯定感を育てることにもつながります。
「書けない」時間も大切に
うまく書けない時間や、言葉に詰まる瞬間も、「考えている証拠」です。焦らず、無理に書かせず、一緒に立ち止まる時間も尊重することが大切です。保護者が「大丈夫だよ」「ゆっくりでいいよ」と見守る姿勢は、子どもにとって大きな安心感になります。
実践の一歩は「読んでみようか」のひとことから
まずは、読書感想文のためでなくても構いません。本屋や図書館で「面白そうな本あるかな?」と一緒に探すところから始めてみてください。親が楽しんでいる姿を見せることが、子どもにとって一番の刺激になります。
最後に
読書感想文は、決して“うまく書く”ことが目的ではありません。子どもが自分の言葉で、自分の感じたことを伝えること。その過程に、親子で向き合い、共に成長できる大きな価値があるのです。
ぜひ今年の夏は、親子で読書と対話の時間を楽しみながら、感想文に取り組んでみてください。







