「うちの子が朝起きても学校に行こうとしない」「クラスの友達と話すのを避けるようになった」
そんな我が子の変化に気づき、不安を抱えている保護者の方は決して少なくありません。実際、中学生の不登校は年々増加傾向にあり、多くの家庭で悩まれている問題です。
この記事では、最新の文部科学省データを基に中学生の不登校の現状を詳しく解説し、その原因や保護者ができるサポート方法について、専門家の知見と実際の支援事例を交えながらお伝えします。
お子さんの今の状況に不安を感じているあなたの気持ちを受け止めながら、一緒に最善の道を見つけていきましょう。
不登校の中学生はどれくらい?最新統計と現状
小学生・中学生の不登校が増加している背景とは
文部科学省の最新調査によると、2023年度の小中学生の不登校児童生徒数は34万6,482人に達し、過去最多を記録しました。このうち中学生は21万6,112人(前年度比2万2,176人増)で、小中学校全体の約6割を占めています。
これは1,000人当たり67.1人という割合で、約15人に1人の中学生が不登校状態にあることを意味します。この数字は11年連続で増加し続けており、もはや「一部の特別な家庭の問題」ではなく、多くの家庭に関わる社会的な課題となっています。
なぜこれほど増加しているのでしょうか?
専門家は以下のような背景を指摘しています:
- コロナ禍による生活リズムの変化:長期休校により、学校生活への復帰に困難を感じる生徒が増加
- SNSやデジタル機器の普及:リアルなコミュニケーションへの不安や、オンライン上のトラブル
- 学習環境の多様化:学校以外の学習選択肢が増え、従来の一律教育への疑問
- メンタルヘルスへの関心向上:心の不調を認識しやすくなり、無理をしない選択をする家庭の増加
重要なことは、不登校が増加している現実を受け止め、お子さんにとって最適な支援を考えることです。決してお子さんや保護者が悪いわけではありません。
年齢・性別ごとの不登校傾向
学年別の特徴 中学生の不登校には、学年ごとに異なる特徴が見られます
中学1年生(12-13歳)
- 小学校から中学校への環境変化に適応できない「中1ギャップ」
- 新しい人間関係への不安
- 学習内容の急激な難化への対応困難
- 部活動や先輩後輩関係への戸惑い
中学2年生(13-14歳)
- 思春期特有の心身の変化
- 自我の確立と親への反発
- 友人関係の複雑化
- 学習意欲の低下や将来への漠然とした不安
中学3年生(14-15歳)
- 高校受験へのプレッシャー
- 進路選択への不安
- 将来への具体的な心配
- 学力格差による劣等感
性別による違い 統計的には男女でやや異なる傾向が見られます
男子生徒
- ゲームやインターネットへの依存傾向
- 対人関係でのトラブルを避ける傾向
- 学習面での挫折感から不登校に至るケース
女子生徒
- 友人関係での複雑な感情的トラブル
- 容姿や体型変化への過度な意識
- 家族関係での悩みを抱えやすい傾向
ただし、これらは統計的な傾向であり、個々のお子さんの状況は一人ひとり異なります。大切なのは、お子さん自身の気持ちや状況をじっくりと理解することです。
中学生が不登校になる主な原因
中学校生活でのストレスや人間関係
文部科学省の調査では、中学生の不登校の原因として「無気力・不安」が47.1%で最も多く、続いて「いじめを除く友人関係をめぐる問題」が12.5%となっています。
友人関係の悩み 中学生の友人関係は小学生時代よりも複雑になります
- グループ内での立ち位置への不安:「みんなに合わせなければ」というプレッシャー
- 新しい人間関係:違う小学校の生徒とのかかわりや部活動という新たな友人関係
- SNSでのトラブル:LINE外しやオンライン上での悪口
- 価値観の相違:趣味や関心事の違いによる疎外感
- 恋愛関係の複雑化:異性への関心と友人関係の板挟み
体験談:中学2年生のAさんの場合 「仲良しグループの中で、LINEグループから外されているのに気づきました。理由もわからず、学校で友達と顔を合わせるのが辛くなり、だんだん教室に入れなくなりました。母は『気にしすぎよ』と言いましたが、私にとっては世界が終わったような気持ちでした。」
教師との関係
- 指導方法への不適応:厳しい指導や注意の仕方が合わない
- 理解されない感覚:自分の気持ちや状況を分かってもらえない
- 評価への不信:成績や評価に納得がいかない
- 相談しにくい環境:話しやすい先生がいない
学業面でのストレス
- 学習内容の急激な難化:小学校との大きなギャップ
- 成績や順位への過度なプレッシャー:テストの点数や内申点への不安
- 進路選択への早すぎる要求:将来の夢が見つからない焦り
- 学習方法がわからない:効果的な勉強法を身につけられない
家庭環境や親子関係の影響
家庭は本来お子さんにとって最も安心できる場所であるべきですが、時として不登校の要因となることもあります。
親子関係での課題
- 過度な期待とプレッシャー:「○○高校に入ってほしい」「もっと頑張れるはず」
- コミュニケーション不足:忙しさから十分な会話時間が取れない
- 価値観の押し付け:親の理想や経験を基準にした助言
- 感情的な対応:不登校を責めたり、無理やり学校に行かせようとする
体験談:中学1年生Bさんの母親の場合 「息子が不登校になったとき、私は『甘えている』『頑張りが足りない』と叱ってばかりいました。でも、カウンセラーの先生に『まずは息子さんの気持ちを受け止めてあげてください』と言われ、話をじっくり聞くようになってから、息子も少しずつ心を開いてくれるようになりました。」
家庭内の環境
- 両親の不和や離婚:家庭内の緊張感が子どもに影響
- 経済的な問題:生活への不安が学習環境に影響
- 兄弟姉妹との比較:「お兄ちゃんは真面目なのに」といった比較
- 祖父母との同居による価値観の違い:教育方針の不一致
中学生における思春期特有の悩みとメンタルヘルス
中学生は心身の発達が著しい時期で、様々な変化に戸惑いを感じやすい年代です。
身体的変化への戸惑い
- 第二次性徴への不安:体型や声の変化への困惑
- 外見への過度な意識:容姿コンプレックスや他者との比較
- 体力や運動能力の変化:部活動での挫折感
精神的・心理的変化
- アイデンティティの模索:「自分とは何者か」という根本的な問い
- 将来への不安:漠然とした将来への恐れ
- 感情のコントロール困難:イライラや落ち込みの激しさ
- 自立への憧れと依存の葛藤:親から離れたい気持ちと甘えたい気持ち
現代特有のストレス要因
- SNS疲れ:常につながっている状況への疲労感
- 情報過多:様々な情報に翻弄される不安
- 比較文化:SNSで他人と自分を比較してしまう傾向
- 将来への過度な不安:社会の変化への漠然とした恐れ
専門家コメント 臨床心理士「中学生は『子ども』から『大人』への過渡期にあり、心身ともに不安定になりやすい時期です。この時期の不登校は、成長過程の一つの表れとも言えます。大切なのは、お子さんの変化を否定せず、寄り添いながら支援することです。」
不登校の中学生が抱える悩みと親の不安
学力遅れ・進路への不安
不登校になると、多くの保護者が最初に心配するのが学習面での遅れです。この不安は、お子さん自身も強く感じている場合が多いものです。
学習面での具体的な不安
- 授業についていけなくなる心配:休んだ分の内容を取り戻せるか
- 定期テストや受験への影響:内申点や高校入試への不安
- 基礎学力の定着不足:積み重ねが必要な科目(数学・英語)への心配
- 学習習慣の喪失:家庭学習のリズムが崩れてしまう不安
体験談:中学3年生Cさんとお母様の場合 「受験を控えた3年生で不登校になり、親子で毎日が不安でした。でも、個別指導の塾の先生が『今からでも十分間に合います』と言ってくださり、息子の学習状況に合わせて丁寧に指導してもらいました。結果的に、息子は自分のペースで学習できる環境で力を伸ばし、希望していた高校に合格できました。」
進路選択への影響
- 高校受験への不安:出席日数や内申点の心配
- 将来の職業選択への影響:学歴への不安
- 同級生との差への焦り:周りとの比較による劣等感
学力遅れへの対処法
文部科学省の調査によると、不登校生徒の61.8%が学校内外で何らかの支援を受けていることが分かっています。つまり、適切な支援を受ければ学習面での遅れは十分に取り戻すことができるのです。
- オンライン学習サービスの活用:すらら、スタディサプリなど、自分のペースで学習できるツール
不登校のこと、もうひとりで悩まないで!【すらら】
スタサプ - 個別指導塾や家庭教師:一人ひとりの学習状況に合わせた指導
【ティントル 不登校専門オンライン個別指導】 - フリースクールでの学習:学校以外の学習環境での成長
- 通信制高校という選択肢:多様な学習スタイルに対応した進路
友人関係・孤独感への対処法
不登校期間中、多くのお子さんが抱える深刻な悩みが孤独感です。同世代との接触が減ることで、社会的なつながりを失ったような感覚に陥りやすくなります。
孤独感の現れ方
- 同級生との距離感:「みんなは学校で楽しく過ごしているのに」という疎外感
- SNSでの比較:友達の学校生活の投稿を見て落ち込む
- 外出への不安:外で同級生に会うことへの恐れ
- 将来への絶望感:「このままでは取り残される」という不安
家庭でできる孤独感対策
1. 安心できる居場所づくり
- お子さんの気持ちを否定せず、まずは受け止める
- 家族の中での役割や存在価値を感じられる環境づくり
- 無理に外出を促さず、家庭内での安心感を優先
2. 適度なコミュニケーション
- お子さんのペースに合わせた会話
- 学校の話題を無理に持ち出さない配慮
- 趣味や関心事を通じた自然な交流
3. 新しいつながりの創出
- フリースクールやサポート団体での同じ境遇の仲間との出会い
- オンラインコミュニティでの安全な交流
- 習い事やボランティア活動を通じた多世代交流
体験談:中学2年生Dさんの場合 「不登校になって半年間、家に引きこもっていました。でも、母がすすめてくれたフリースクールで、同じような経験をした子たちと出会えました。みんな違った理由で学校に行けなくなったけれど、お互いを理解し合える仲間ができて、少しずつ外に出る勇気が持てるようになりました。」
専門機関でのサポート
- スクールカウンセラー:学校配置のカウンセラーとの定期的な相談
- 教育支援センター(適応指導教室):各自治体が運営する不登校支援施設
- 民間のフリースクール:多様な価値観を持つ子どもたちとの交流
- オンラインサポートグループ:地理的制約のない支援コミュニティ
しゅう先生スクールカウンセラーは月に1~2回、学校に配置されることが多いです。私が勤務していた県では、男性と女性のカウンセラーが交互に来る仕組みになっていたので、生徒も性別に合わせて利用していました。お便りや連絡等でスクールカウンセラーが来校する日が分かると思うので、お気軽に申し込むのをおすすめします。お子さんのみ、保護者のみ、お子さんと保護者一緒になど、柔軟に対応することが可能です。
親が最初にできることと相談先
家庭でできる声かけ・サポート
お子さんが不登校になったとき、保護者として最初にできることは「お子さんの気持ちを受け止めること」です。焦りや不安から、つい感情的になってしまいがちですが、まずは冷静にお子さんと向き合うことが大切です。これは他の記事でも書いていますが、声かけ例は先に知っておくと、いざという時に感情を抑えて話すことができるので理解しておくのは重要だと思います。
避けるべき声かけ
- 「なぜ学校に行けないの?」(理由を問い詰める)
- 「みんなは頑張っているのに」(比較による責め)
- 「このままだとどうなると思ってるの?」(将来への脅し)
- 「甘えている」「怠けている」(否定的な決めつけ)
推奨される声かけ
- 「今はゆっくり休んでいいよ」(受容と安心感)
- 「あなたの気持ちを聞かせて」(共感的な姿勢)
- 「一緒に考えよう」(協力的な態度)
- 「あなたは大切な存在だよ」(存在価値の確認)
日常生活でのサポート方法
1. 規則正しい生活リズムの維持
- 起床・就寝時間の基本的なリズムを保つ
- 食事を家族と一緒に取る時間を作る
- 適度な運動や散歩を提案(無理強いはしない)
2. 家庭内での役割分担
- 家事の手伝いなど、家族の一員としての役割を与える
- 「ありがとう」「助かった」といった感謝の言葉をかける
- 小さな成功体験を積み重ねる機会を作る
3. 趣味や関心事の尊重
- お子さんの好きなことを一緒に楽しむ
- 新しい趣味や習い事を始めるきっかけを提供
- 創作活動や表現活動を通じた自己肯定感の向上
保護者の体験談:中学1年生Eさんのお父様 「息子が不登校になった最初の頃は、毎朝『学校に行きなさい』と言い続けていました。でも、カウンセラーの先生から『まずはお子さんの気持ちを理解することから始めましょう』とアドバイスをいただき、息子の話をじっくり聞くように心がけました。すると、息子は学校での人間関係で深く傷ついていたことが分かり、『無理しなくていい』と伝えると、表情がやわらかくなりました。」



無理に登校させようとするのはお父さんが多かったように思います。仕事で帰りが遅く、お子さんの話を聞くことができなかったり、お母さんから話を聞いて深く考えずに車に乗せて連れてくる・・などがよくありました。大抵の場合、教室に入れなかったり、別室で過ごすもののお昼前には気持ちの限界が来ていました。
学校・専門機関への相談の流れ
不登校への対応は、一人で抱え込まず、様々な専門機関と連携することが重要です。以下に、相談の流れと各機関の特徴をご紹介します。
学校との連携
1. 担任教師との相談
- お子さんの状況を正直に伝える
- 学校での様子や出来事について情報を得る
- 今後の対応方針について話し合う
2. スクールカウンセラーとの面談
- 多くの中学校に配置されている専門のカウンセラー
- お子さんと保護者、両方のカウンセリングが可能
- 月1〜2回程度の定期的な相談が一般的
3. 学年主任・生徒指導教諭との連携
- より専門的な支援体制の構築
- 他の専門機関との連携のコーディネート
専門機関での相談
教育支援センター(適応指導教室)
- 各市町村が設置している不登校支援施設
- 学習支援と居場所提供が主な機能
- 出席扱いになる場合が多い
- 費用:基本的に無料
児童相談所
- 18歳未満のお子さんとその家族が対象
- 心理判定員による専門的なアセスメント
- 必要に応じて医療機関への紹介
- 費用:無料
精神科・心療内科(児童精神科)
- うつ症状や不安症状が強い場合
- 発達障害などの可能性を調べたい場合
- 薬物療法が必要な場合
- 費用:保険適用
民間の相談機関
- NPO法人や民間団体による支援
- より柔軟で個別性の高いサポート
- フリースクールとの連携
- 費用:団体により異なる
相談時に準備すること
- お子さんの生活の様子(睡眠、食事、活動状況)
- 不登校になったきっかけや経緯
- 学校での出来事や人間関係について分かっていること
- 家庭での会話や様子の変化
- これまでに試した対応とその結果
オンライン学習サービスの活用例
近年、不登校のお子さんの学習支援として、オンライン学習サービスが注目されています。従来の一斉授業とは異なり、一人ひとりのペースに合わせて学習できる特徴があります。
すらら【不登校サポート】(公式サイトはこちら)
すららは、小学校から高校までの範囲をカバーする無学年式のオンライン学習サービスです。
主な特徴:
- 個別最適化された学習:一人ひとりの理解度に応じた問題が出題
- ゲーミフィケーション:楽しみながら学習できる仕組み
- 学習履歴の可視化:保護者も学習状況を把握できる
- 専門コーチによるサポート:定期的な学習相談が可能
不登校生への活用メリット:
- 自分のペースで学習を進められる
- つまずいた箇所まで戻って学習できる
- 出席扱いになる学校が増えている
- 家庭で安心して学習できる環境
活用事例:中学2年生Fさんの場合 「娘が中学1年の秋から不登校になり、学習の遅れを心配していました。すららを始めてから、娘は自分のペースで小学校の内容から復習することができ、少しずつ自信を取り戻しました。特に数学は、基礎からしっかり理解できるようになり、『勉強って楽しい』と言ってくれるようになりました。学校の先生も出席扱いにしてくださり、内申点への不安も軽減されました。」
その他のオンライン学習サービス
スタディサプリ(公式サイトはこちら)
- 有名講師による動画授業
- 中学・高校の全範囲をカバー
- 比較的低料金で利用可能
デキタス
- 教科書準拠の内容
- アニメーションを使った分かりやすい解説
- 小中学生向けに特化
atama+
- AI技術を活用した個別最適化学習
- 一人ひとりの「つまずき」を特定
- 効率的な学習計画の提案
オンライン学習を成功させるポイント
- 適切なサービス選択:お子さんの学習スタイルや関心に合ったものを選ぶ
- 環境整備:集中できる学習スペースの確保
- 保護者のサポート:適度な関心と励ましを提供
- 学校との連携:出席扱いや成績評価について事前に相談
学習以外のオンラインサポート
ティントル
- 不登校生向けのオンライン個別指導
- 学習だけでなく、心のケアも重視
- 経験豊富な講師による1対1指導
aini school
- 多様な体験型オンライン授業
- 子どもの興味や関心を広げる内容
- 全国の子どもたちとの交流機会
これらのサービスを活用することで、お子さんは学校以外の学習環境で自信を取り戻し、将来への希望を見出すことができます。
まとめ:お子さんと歩む次のステップ
中学生の不登校は、決して珍しいことではありません。文部科学省の最新データが示すように、多くの家庭で向き合っている課題です。大切なことは、お子さんを責めるのではなく、一緒に解決策を見つけていくことです。
今すぐできること
- お子さんの気持ちを受け止める:まずは安心できる環境を整える
- 専門機関に相談する:一人で抱え込まず、サポートを求める
- 学習環境を整える:オンライン学習サービスなどを活用する
- 長期的な視点を持つ:焦らず、お子さんのペースを大切にする
子どもが不登校かもしれない・・その不安は16年間現場で見てきて痛いほどよく分かります。
しかし、お子さんが笑顔を取り戻すためには、親御さんの協力が絶対に必要です。苦しい時期もあるかと思いますが、できることを少しずつ増やしていけるようサポートしてあげてください。
主な相談先一覧
- 文部科学省 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310
- 各都道府県教育委員会の相談窓口
- お住まいの市町村教育支援センター
- スクールカウンセラー(在籍校に配置)
- 児童相談所:189(いちはやく)





